「シン・ゴジラ」を観た

私は今、緩やかに感動している。

我が劇団で「ゴジラ」を取り上げている事と、単純にゴジラファンとして、
シン・ゴジラ」を観た。

この作品がゴジラファンには賛否両論だと云う。

私が考えるに、このゴジラには今迄の様な哀愁がないのだ。
感情が見えない。生物ではあるが動物的ではない。
そこが否論の出る所以だと思う。
それは私も感じる。
ゴジラを愛する者ならゴジラの哀愁を見たいのだ。
なのに奴は、目的とか憎しみとか、そんなものは一切持たずに無機質に進む。
破壊者に感傷など要らない。

しかし、だからこそゴジラが、改めてリアルな恐るべき存在として感じたのだ。
なす術の無い敵と戦う人間。
これこそが今の時代の象徴だ。

「核は恐ろしい」とか「核の象徴」の昭和ゴジラではなく現実の核…。シン・ゴジラは核そのものだ。
感傷的なモノは一切排除し、そこにはただ、現実的な核の恐ろしさがあるだけだ。
これが昭和生まれのゴジラと大きく違う点だ。
犠牲者的なゴジラではなく、単純に人間が生み出した怪物そのものだ。
だから余計に恐ろしい。
むしろ「ゴジラ」の原点に還った作品でもある。

ただ無造作に壊されていく家々やビル群を見るにつけ、何だか泣けてくる。
今回のターゲットはスカイツリーだろうとタカをくくっていたが、そんなケレンも無い。
ただただ、核と云う人類が作ったモノとどう付き合うのか…どうするべきかを考えさせてくれた作品であると思う。